目の上数センチ

一日で飽きる恋、二日で抜けるアルコール、三日で忘れる二人

右耳は僕の左耳は誰の

美味しさを求めて棘に刺さる

罪の弁明を六弦に図る

肺で嘘と煙を濾していく

自責の念と吸い殻がただ溜まって行く

雀荘に入り浸り汚れた空気に溺れる

こんな堕落を聞いたらどう思うのかなんて

そんなことは毛頭考えてないみたい

財布の中身が底をついても

膝を地面に着かなければそれで良い

 

「僕、先輩と付き合ってるから」

なんて強がりの嘘をついてる

本当はただそばにいるだけ

本当はただ勝手に会いに行ってるだけ

昨日だってお金なくて食費削ってるのに新しい服を着ていたし

その前の日だってシャンプー変えたって言っていたのに風呂場にはいつものやつしかないし

メンヘラを撒いてまで新しい恋に固執すること

すごく馬鹿らしい

でも、すごく心地いい

ただ、終わりが怖い

 

 

やめて

好きじゃないのに好きって言わないで

今日だけなのに会いたいって言わないで

機嫌が良いからって奢らないで

昨日のあの人のこと隠さないで

 

愛してないのに抱きつかないで

二人ずっと、なんて思ってないでしょ言わないで

私たち親友だからなんて言葉で誤魔化さないで

どうせ別れることなんて考えないで

 

もう二人のこと思い出さないで  なんて言わないで

知らない顔してすれ違わないで

しれっと僕のあげた服を着ないで

 

もう二人おしまいなんて言わないで欲しかったよ

 

蝙蝠

10時までのバイトに疲れて1LDKに泊まる日々

昼間の余熱に起こされた二人深夜2時

映画のエンドロールになる前に重なり合ってた

いつのまにか寝てしまっていたようで

目、完全に覚めたし映画の続き見るためにコンビニ行って買い足しいこ?

そう言いながら気怠げな顔で徐にシャツを着始める君に

肌着くらいは着てよ、とわがままを言う

いいじゃんドキドキしたほうがいいんだよ

そう言いながら薄化粧をした君とサンダルでいつものところへ向かう深夜3時

 

誘蛾灯のように青白い光に誘い込まれた二人は

いつもよりちょっとだけ高いアイスを2つ

レモンチューハイとハイボールを1つずつ

君のアメスピと僕のハイライトを一箱ずつ

厚さ3ミリを一箱だけ買って

別にペペじゃなくてコンタクト液でいいよねって

もう映画は口実でしか無くなっていた

 

君のタバコはゆっくり燃えて、僕のタバコはすぐ燃え尽きる

深夜の二人、君はすぐに果てて疲れて、僕は悶々と夜を過ごす

 

何気ない幸せが、何気ない二人をこれからも、何気なく後押ししてくれればね

 

未定

煙を肺で濾してその末に貧血

金を払って寿命を縮めて死んでいく

内容勝負と意気込んだ末に単位を落とす

体当たりや空回り

馬鹿馬鹿しいから嘲笑い

狂い始める時間割

付き合ってるけど好きじゃない

 

2019がもう半分経って

浴衣姿とあんず飴

ラスト四文字で韻を踏むだけ

 

過去とこれからを反復する

部活終わりに学習塾

そんな日々はもうこない

見覚えないよ

強風に煽られて肌蹴たティシャツの

隙間から垣間見えた昨日の嘘が

僕を夏の焦燥へと連れて行く

 

二番線と三番線

息を吐くようにブレーキを踏む鉄の塊を挟んで

遠く指をさしたその先に何があったの

 

凝り固まった肩と脳

凹凸の双方からかけられる圧力

重なる課題と利子

夜中の通話で鼓膜を跳ねるイヤホン

それらの日常が過去を彷彿とさせてる

 

僕ら白紙に戻しても筆跡くらいは残してよね

 

 

 

 

 

 

最近

もしもし、今、三茶にいるんだけど

こんな場所、用がなきゃ来ないのに

そう思いながら窓を眺める終電の中

今日も枝毛と柔らかい手に抱かれるのかな

なんて思っていたのに薄暗い部屋とタバコと酒

手を引かれて初めて入った店

ロックのグラスと白い粉

重低音と回る照明

 

2人ならどこに行っても楽しいよとかもう言わないからさ

2人狭い部屋に戻ろうよ

足りないものがありすぎる生活よりも

要らないものがありすぎる方が辛いよ

 

 

愚問

社会の窓から顔を出して会話する大人

気に触る発言にぶら下がる返信その他

喫煙者が群がる深夜の屋上で寝てる人

燃費の悪い走行で溢れる甲州街道は今日もきっと

僕は裏の裏を読んでしまって迷走

同じような曲で溢れた画面

久々に同窓会、僕ら面影残ってないよね

日々の気鬱を酒で蒸発させた

鍋を囲んだ2人、湯気が視界を妨げてた

1限2限すっぽかして1人屋上で昼寝

また会おうなんてもう言わないでおくね