蒸発
体に針を通されてただじっと雲の動きを格子窓から追いかけていた
こんな風に情けない格好でされるがままに動いていると
「ここまでして生きるべき命なの?」と自問してしまう
こんなことは大抵、何もしていない時に思うことで
多分いつもの日々に戻ればまたこれまでのように
ただ妄りに青春の残り香を嗅ぐような生活をきっと続ける
「私たち、今日も何もしてないね」
そういつも言っていた
する事がないから、と、
別にお互い興味もない映画を見に言ったし
別にそこまでじゃないラーメン屋に地下鉄を乗り継いで行った
雨の日はドンキホーテと百均に行って食材を買って帰って
次の日は、今日は少し背伸びしてパブスタに行った
そりゃ一日中気だるくて、お互い下着にシャツ一枚でコンビニにだけ行って、
あとはずっと家で何もしてない時もあった
でもそれはそれで幸せで、沈黙が続いた後の苦笑いでさえも心地よく思えていた
僕ら、何にも気づけていなかったね
別に、何気ない日々なんかじゃなかったよ