目の上数センチ

一日で飽きる恋、二日で抜けるアルコール、三日で忘れる二人

不感症

顔も性格も対して好みじゃなかった

ただ、好きでいてくれたし、

匂いが好きだった

前日まで死ぬほど冷めていたのに

匂いを嗅ぐだけで僕はきっと好きなんだと誤認していた

部屋の匂い、髪の匂い、服の匂い

全部が混ざった時にそれは木天蓼と成り果てた

 

冷え性の右手を平熱が高い左手で包んでも何も感じなかったし

別に見た目に惹かれたわけじゃないから、水着も浴衣も楽しみじゃなかった

花火も天体観測も映画も手段でしかなくて

横で集中してるフリをして匂いに包まれていればそれでよかった

 

ただ、匂いが好きだったし、

今でもその匂いを探してしまう

そして隠すように煙を吐いてしまう